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4話 冒険者登録をした

作者: みみっく
last update 最終更新日: 2025-07-02 07:00:55

♢無詠唱の力と新たな一歩

 前衛は、詠唱時間を稼ぐための存在とも言われている。そのため、体力、防御力、そして敵を攻撃したり身動きを取れなくしたりするための押さえつける力が必要だ。前衛は最強のイメージがあるが、前衛だけのパーティは珍しく、中級レベルの魔物討伐がせいぜい一般的だ。前衛は支援魔法が無ければ、魔物や魔獣のランクが上がってくると、剣が通用しなくなってしまう。

 魔術師の方は通常、低級の魔物討伐止まりだ。中級レベルの魔物相手に、逃げ回りながら詠唱ができるわけがない。魔術師が中級の魔物相手を押さえつけ、詠唱できるわけがないのだ。

 だけど、俺たちは無詠唱なので、前衛は不要っぽいな。こっそりと転移をして人がいない場所で、上級魔法を無詠唱で放てるか実験したことがあって、成功しているし。

 初パーティでの魔物討伐は、アリアの無詠唱を知ることができたし、何よりアリアとパーティを組めて嬉しかったので大成功だった。

♢ギルド登録とシャルの再登場

翌日……

「ユウくん。さっきね〜魔物の討伐を友達に誘われちゃった。でも〜ユウくんとパーティを組むことにしたって言って、断っちゃった〜♪」

 嬉しそうに笑顔で話してきて、褒めて欲しそうな感じでニコニコして見つめてくる。

「アリアは、やっぱり人気があるんだな」

 そんなアリアの頭を撫でて褒めてやり、パーティに入ってくれたことに感謝した。

「そんなことないよ〜。多分ね、魔術師がいなくて仕方なくじゃないかな〜」

「他のパーティに行くなよ?」

「大丈夫だよ。えへへ……♪ わたしはユウくんと! って決めたしぃ」

 アリアとパーティを組んでみて、何の不都合もなく楽しく魔獣や魔物の討伐練習ができた。だいぶ自信をつけたので、アリアの勧めもあって冒険者ギルドへ登録しに行くことにした。

 ちょっと不安に思っていたけど……魔力測定やレベル測定を警戒していたが、そんなものはなかった。

 この世界は、依頼を達成するとポイントが入る仕組みらしく、強さやレベルでランクが決まるのではなく、依頼達成の実績でランクが決まると説明を受けた。強さでランクを決めてしまうと、いきなり高ランクの難易度の依頼を受けてしまい、死亡する例が多かったらしい。

 そりゃそうだろうな。高報酬の依頼を受けられるのであれば、高額の報酬や高ポイントが欲しいと考えるだろうし。特に何も考えていない人が多そうだし……死んでしまう人が多く出そうだ。

 依頼の難易度によってポイントの数が変わるらしいが、冒険者ランクに合った依頼しか受けられないので、安全性を優先したシステムになっているらしい。

 冒険者ランクは、SS、S、A、B、C、D、Fと7段階にランク分けされていた。

 Fランクは、子供の冒険者予備軍らしい。簡単な村の清掃や薬草採りで報酬はもらえるが、ポイントはもらえない。登録していれば薬草を買い取ってもらえる。さらにギルドに出入りすることで、冒険者の知識も勉強でき、現役の冒険者に名前を覚えてもらうチャンスがある。もし気に入ってもらえれば、パーティに誘ってもらえるかもしれない特典付きだ。

 Dランクは、駆け出し冒険者で、正規の冒険者となる。薬草採り、低級の魔物討伐やお金持ちの屋敷の門番や警備の依頼を受けられるようになる。中級の魔獣や魔物を討伐してもポイントはつかないが、買い取りはしてもらえる。

 Cランクは、中級レベルの魔物討伐や商隊の護衛などの依頼を受けられる。冒険者で一番数が多いランクらしい。

 Bランクは、上級の魔物や魔獣の討伐など、様々な依頼が受けられるようになる。数が少ないので指名依頼も来るようになる。しかしBランクになれるのは難しいらしく、実技試験もあると聞いた。上級冒険者というのはBランク以上の冒険者を指すらしい。

Aランクは最上級冒険者と呼ばれ、王国でも数が少ないらしい。

Sランクは、英雄級で数は不明だが、名前の通り英雄的な存在で憧れの的だ。

SSランクは、伝説で過去に数人しか存在していない歴史上で有名な冒険者ばかりだ。

 ちなみにアリアも一緒に登録を済ませ、Fランクの冒険者予備軍になってレベル上げとお小遣い稼ぎをするらしい。俺はDランクになったので、薬草採りのアリアの護衛でもしようかな……。薬草採りの最中は夢中になってしまい、周囲の警戒を忘れて無防備になりやすいし。魔物や魔獣を倒して魔石をギルドで買い取ってくれるし、お金にもなるしポイントも付くし、良いお小遣い稼ぎにもなる。

 冒険者ギルドに登録したから、魔石や素材を売れるようになったし、過去に魔物を大量に討伐して手付かずで収納してある魔石を売るかな。

 家に帰ると、家の前をうろついているシャルを見かけた。なんだ?今更、何か用か?とても面倒な予感がする……。

 もう既にどうでも良いと思えてきてるし……焼きもちもなくなっている。他の男子と仲良くしてようが、付き合い始めたと聞いても大丈夫だ。

「なんか用か?」

 シャルに声をかけ、家から少し離れた倒木を椅子にして、並んで座り話を聞いた。

「あ、ユウくん……あ、あのね……」

 は? ユウくん? ユウヤって呼んでただろ? しかも恥ずかしそうにしているのか?

「私たちって、パーティだよね?」

 いつの話をしてるんだよ? 冒険者を諦めたんじゃないのか? 俺が森で魔物討伐をして、アリアとの連携を二人で考えて悩んでいる時、男子と仲良く遊んでたんだろ? 今更、勘弁してくれよ……シャルが入ると、今まで上手くいっていた連携が狂ってしまうだろ。

「は? 違うだろ……」

「え? でも……約束してたよね?」

 シャルが俯き気まずそうな顔をして、俺をチラッと見て言った。

「してたけど……。シャルは誘いに来なかったし、男子と楽しそうに毎日遊んでただろ? 冒険者をやめたと思ってたけど?」

「だって……あんな怖い思いしたんだよ? 魔物討伐は、すぐにはできないよ……。それにユウくんに会うのが恥ずかしかったし……」

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